『オリヴィエ オリヴィエ』~彼は誰?
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フランスの田舎町に住む獣医セルジュと妻エリザベト、その子どものナディーヌとオリヴィエの一家。
ある日、姉ナディーヌの代わりに祖母に食事を届けに行った8歳の男の子、オリヴィエが失踪する。
数年後、オリヴィエらしき青年が見つかった。
彼はパリで男娼をしていたのだ。
母エリザベトは、彼が無条件にオリヴィエであることを信じ、ナディーヌは、彼が偽物であると疑っている。
一体、彼は本物なのか偽物なのか?
ずいぶん前に1度見た映画だが、人物描写と曖昧さと不思議な雰囲気が渾然となっていてミステリアス。
幼いオリヴィエへのエリザベトの溺愛ぶり。
彼女の愛がナディーヌに向くことはなく、それが幼いころからナディーヌの弟の対する複雑な想いに影響しているようだ。
オリヴィエが失踪してから(失踪する前からその芽はあったけれど)、この家族はそれぞれ関係がぎこちなくなっている。
数年後に現れたオリヴィエはその家族の繋がりに波乱を巻き起こす。
ここから下はネタバレです(結論には触れていません)。
オリヴィエは、エリザベトやセルジュに対しては息子であると同時に、誘惑者のような態度を取る。
ナディーヌに対しても同じような態度で接するのだが、彼女は一度は避ける。
このシーンでオリヴィエを避けるために、ナディーヌは不思議な能力(超能力のようなもの)を発揮したような気がするのだが、記憶違いだろうか?
結局彼女はオリヴィエと関係を持つ。ナディーヌは彼が偽者であり、他人であると思っているから。
その後、この青年がオリヴィエ本人しか知り得ないことを知っていることに気づき、ナディーヌは彼がオリヴィエ当人なのだろうかと思い始める(ここは近親相姦的な危うさが漂う)。
そして結末、失踪当時の謎が判明する。だが、その謎が解かれた後もどこか曖昧で謎めいている。
これは、監督のアグニェシュカ・ホランドが、新聞の記事を元にして自由に創作した作品。
オリヴィエ役のグレゴワール・コラン、美形ではないが、繊細さとでたらめさ、そして艶やかさが同時に存在する魅力を発揮している。
この監督の作品には、アイデンティティの揺らぎという意味では『ヨーロッパ・ヨーロッパ』という映画もある(これもまた印象的な映画だった)。
その後、レオナルド・ディカプリオが詩人のランボー、デヴィッド・シューリスがヴェルレーヌ、ロマーヌ・ボーランジェがヴェルレーヌの妻を演じた『太陽と月に背いて』を撮影している。
『タイタニック』でメジャーになる前のディカプリオ、青年と少年の間を揺れ動き、生を激しく燃焼するランボーもなかなか奮闘していたが、長い指の美しいシューリスのヴェルレーヌもいい。
ポーランド出身のホランド監督、その後、コッポラ監督に見いだされて、ハリウッドで映画やTVドラマを撮っている。
近作は『ソハの地下道』『敬愛なるベートーヴェン』など。
一番ポピュラーなのは『秘密の花園』。
『秘密の花園』はいわずとしれた児童文学。美しい花園の中でだんだんと元気になっていく少年少女を見ているとほほえましい気分になる作品だった。
けれど、初期の頃のようなミステリアスな雰囲気の作品を作ってほしいな、などと思ったりします。
↓目の保養になるので買って損はないかなと(個人的見解です^^)。
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↓現在の様子からは考えられないでしょうが(失礼)、レオナルド・ディカプリオがまだまだ少年っぽかった頃は危うい雰囲気を醸し出しておりました。でも攻めなんですよ、BL的には…あわわ。
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